2002.10.01

台風と台風に刺激された秋雨前線の影響で近畿から北東は雨模様だった。

久しぶりに 伊丹−大館能代 を飛んだ。
最後に飛んだのは1年以上前だと思う。

恐らく天気が悪かったせいだと思われるが、
上空は飛行機が多く、管制官から離陸時刻を指定されていた。

結局、普通に出発していたのと比べて10分程遅れての離陸だったが、
行きは追い風80ktを受けていたため、
大館能代へはほぼ定刻に到着することができた。

反対に帰りは向かい風80kt。
向かい風だとスピードが遅くなるので憂鬱になる。
でも、真冬になると、その倍以上の速度で風が吹いていることもある。
それに比べればずっとマシだ。

紀伊半島上空には厚い雲があって、揺れるとのレポートをカンパニー無線で聞いていた。

高めにもっていって、スピードブレーキを引っ張って、一気に激しい雨の中を降下すると
コックピットの窓に青い光が数本走った。
セント・エルモの火だ。

飛行機が帯電してるなぁ。」(キャプテン)

時速600kmものスピードで機体と雨粒がぶつかり、その摩擦で帯電するのだ。

窓ガラスの光の走った部分だけ、何故か雨が流れず、模様になっていた。



2002.10.04

通りを車で走っていると、私好みのバイクが走っていた。
アメリカンタイプの改造車だ。
後輪を太くし、泥除けを取り払い・・・・、ナンバープレートの位置が変だぞ?

バイクにまたがったお兄さんはディパックをしょっており、
よく見ると、そのバッグにナンバープレートが紐で縛り付けてあるではないか!?
しかも、簡単にはずせそうな縛り方には見えない。

バイクにまたがった彼の後ろ姿に大きな違和感は感じなかったが、
バイクを止めて街を歩くとき、かれはナンバープレートをカバンにつけたまま歩き回るのだろうか?
それともいちいちはずすのだろうか?
とても興味津々である。

こんなとき、時間があれば追跡し、彼がバイクから降りる瞬間を見届けたい。
そう思う暇人は私ぐらいだろうか・・・・・?



2002.10.07   おせっかい ×2

この時期になると暖かいとはいえ、街を歩いている人たちですら長袖に長ズボンで、
バイクに乗っている人達は厚手のジジャンバーを着ている。
それでも私は外見にはおかまいなく、大型バイクにTシャツ、短パン、サンダルでまたがったが、
何か視線を感じる気がする・・・・・・・・。

レンタルビデオ屋のTSUTAYAの前を通過すると、バス停に置いてあった横長のベンチが、
歩道いっぱいいっぱいに横倒しになっていた。
邪魔だなぁ〜、風で倒れたのだろうか?と思いつつ、私はバイクでその横を通り過ぎようとした。
子供を後ろの席に座らせたお母さんが、向こうから自転車をこいで歩道を走ってきた。
バス停を通過してから気になってバイクを止め、後ろを振り返ると、
お母さんは歩道を降りて車道に出た。
ベンチが邪魔なのだ。

私はエンジンを止めてバイクを降り、来た道を戻ってベンチを元通りに直した。
周りにはたまたま誰もいなかったので、誰にも気兼ねすることなくできた。
それにしても、TSUTAYAとその前の本屋さんには結構お客さんが入るのに、
そこから数メートルしか離れていないバス停のベンチを、誰かが気がついて直しても良いだろうに・・・・。

用事があって、十三(じゅうそう)へバイクで出掛けた。
川沿いの道を走っていると、信号に停車したタクシーのトランクが全開だ!?
近づき、中を覗くとトランクはからっぽ。
お客さん二人を乗せているのに、誰もそのことに気がつかない。
運転手さんは、バックミラーを見ないのだろうか?
私はバイクにまたがったまま車の左側から近づいたが、運転手さんは私に気がつかない。
後部座席の窓が少し開いていたので、私はお客さんに声をかけた。
「トランク、空いてますよ。」
お客さんは振り向き、ビックリ! すぐ運転手さんに声をかけた。
運転手もビックリ。
そこで信号が青に変わってしまった。
タクシーは先頭から2番目。 後ろがつかえていた。
私はバックしてトランクを閉めた。
運転手さんは、手を上げて私に会釈し、そのまま何事もなかったかのように走り去ったのだった。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

先日、伊丹空港を歩いているとき、ゴミが落ちているのを見つけた。
そこは出発カウンターで、広い空間だった。
たまたま修学旅行らしき、制服を着た中学生ぐらいの沢山の生徒達が、床に座らされていた。

制服を着て、フライトバッグとステイバッグを二つ持った姿でターミナルを歩いていると
一般のお客さん達の視線を感じることがある。
そんな時はいつも下を向いて歩いているので、床のゴミがよく目に付くのだ。

拾おうかなぁ、どうしようっかなぁ〜。
生徒達がいっぱいいるし、私も制服だし、カバンを二つも持っているし、ゴミを拾うの、気が引けるなぁ〜。
結局、そのときは目をつぶって、その場を通り過ぎてしまった。
ちょっと罪悪感を感じたが、あの日は勘弁してもらうことにした。
それで良かったのかなぁ〜・・・・。



2002.10.11

朝一の 関空 → 松山 便(271便)で岡山のあたりを飛行中、管制官に無線で呼び出された。
ANK Air 271. Say speed.」(速度はいくらですか?)
「300kt」(300ktです。)と答えた。
当たりをキョロキョロ見回すと、右斜め前方やや下に大きな、細長い青い飛行機を発見。
トリプルセブンだなぁ・・・・。
あれって、羽田から来た松山行きかなぁ?
なんで 18,000feet を飛んでるんだ? 随分、低いなぁ。
羽田からの飛行機は四国の南から入ってくるんじゃなかったっけ?
ってことは、伊丹から松山へ向かっている飛行機かなぁ?
伊丹→松山はB6だったはずだよなぁ。
ひょっとして松山行きじゃないんじゃないだろうか?
でも、18,000feet を飛んでるてことは、間も無く着陸のはずだし、
あの高度から降りて着陸できる飛行場っていったら松山ぐらいしかないよな。
うちより、右(北)にいて、空港は左(南)だから、ほんのちょとうちより前にいても、
うちの方が先だったりして・・・・。
降下速度も、トリプルとA320は同じだし。
どうかなぁ・・・・。

ANK Air 271. Reduce soeed to 250kt.」(250ktまで減速してください。)

クッソーッ! やられたぁ〜。 負けちまったじゃんかよぉ。
トリプルは私達の右側からスゥーッと私達の前方に割り込んできた。

松山空港は Visaul Approach 14 だった。
始終、トリプルの尻を見ながら空港に接近した。
誰かに続いてアプローチするより、自分が一番の方が気持ちが良い。
せっかく天気がいいのに、残念。

私達より前に着陸したトリプルは、J社の飛行機が出発のため Push Back しており、
すんなり駐機所に入ることができず停止して待っていた。
J社の飛行機がエンジンをかけ、動き出し、トリプルがようやく Spot In できる頃、
ちょうどいいタイミングで私達は着陸し、待つこともなくトルプルに続いて Spot In することができた。
私は地上で待つより、上空で待つ方が退屈しないし、
お客さんにとっても着陸後、地上で待機するのは面白くないだろう。

結果的に、トリプルの後にアプローチできて良かった♪


松山発千歳行き。

離陸の準備を整え滑走路に向かう途中、トンビが2羽、滑走路の上にとまっているのが見えた。
その場所が、離陸滑走を始めて600m付近の、やっかいな所だった。
かなり速度がついたところでトンビがビックリして飛び立ったら、エンジンに吸い込んでヤバイ。

カラスはかしこいので危険を察知すれば早めに逃げてくれるのだが、トンビは決して逃げてくれない。

管制官に無線で連絡し、トンビを駆除してもらうことにした。
しばらくすると航空局の黄色い車がトンビのいるあたりに到着した。
白い煙が上がっているのが見える。
空砲だ。

トンビはゆっくり舞い上がり、しばらく滑走路の上を旋回していたが、
度重なる空砲にようやくその場を離れて飛び去っていった・・・・・
と思うと、1羽がこっちに向かってきた。
くるなぁーーーっ!!

飛行機の近くをしばらく旋回していたトンビもやっといなくなり、5分遅れで離陸することができた。
航空局のみなさん、ご協力、どうもありがとうございました。



2002.10.12

千歳は ILS 19R からの Circling 19L アプローチだった。
天気は良く雲はないのだが、モヤッており、かなり空港に近づくまで、滑走路が見えなかった。
ようやく 19R が見えたので左旋回し、19L に向かって降下を継続した。

地上から 600feet(約200m)を通過中、私の視野の右手に黒い影が入った。
んっ?とそちらの方向に目を向けると、10羽程度の鳥の群れだった。
しかもこちらへ接近している!
これは、このままいったらぶつかるぞ。
エンジンに吸い込んだら大変だ。

「キャプテン、右から鳥の群れが接近してます。」

キャプテンはチラッと右に目をやり、と、同時に少し左へ機体を傾けた。
ここでよけたらゴーアラウンドだなぁ。
と思って鳥の行方を目で追うと、全員?一斉に私達に腹を向けた。
右旋回して方向転換したのだ。
キャプテンは機体を傾けるのをすかさず止め、進入を継続した。

それはハト程度の大きさの鳥の群れだったが、私達が真横を通過し、追い越したとき、
とても大きく見えた。

彼ら、ビックリしとったみたいやなぁ〜。」(キャプテン)
??なんで、そう思ったの??
もう滑走路はすぐそこだったので、何も聞かずにだまっていた。



2002.10.14

仕事上、JALでDH(便乗=移動)をすることがある。
このときマイルが貯まるので嬉しい。

先日、10,000マイルが貯まったので、商品券 \15,000 と交換してもらった。
これを使って、今日、心斎橋のJAL Hotel内のレストランに妻と行った。

ネットで調べ、電話で問い合わせ、どうすれば \15,000 ちょうどになるか色々考えていた。
中華にしようか、鉄板焼きにしようか、チョイスは沢山あった。
豪華な外食をすることはほとんどない私達夫婦。
せっかくなので、1回で \15,000 使い切りたかった。

実際にレストランに行ってみると、やっぱり貧乏症が出てきてしまった。
「どうせなら、2回に分けて使った方がいいんじゃないかなぁ・・・・。」
当初、\7,000 の中華のコース料理か、\8,000 の鉄板焼きにしようとしていたが、
今回は \3,900 の中華のコース、次回は \2,600 のバイキングにすることになった。

レストランに入ると、各テーブルには高級そうなスーツを着た年配のおじさんばかり座っていた。
うわぁあ〜、場違いだぞぉ〜。
Tシャツにジーンズ、100円ショップで買ったカバンを持っている私。
あきらかにドレスコードに問題ありだ。
でも、妻は普通の格好だし、店の色調に合って私のTシャツは黒だし。
まぁ、大丈夫だろう。

中華の飲茶コースはまずまずだったが、当然のように量が足りない。
「 \3,900 × 2 なら \8,000 もしないわけだから、あと \2,000 分は食べれるね。
 何か追加オーダーしようよ。」
普通、こういう場所って 10%程度サービス料を取るはずだし、消費税もあるし、
 ちょうどいっぱいいっぱいなんじゃないかなぁ。
」(妻)
「え゛ぇ゛ーー! 10%もサービス料取るのぉ? マジかよ。 ウェートレスに聞いてみよう。」
いいよ、格好悪いよ。 どこかに書いてあるんじゃない?」(妻)
テーブルの上に置いてあるメニューを読んでいくと・・・・・・、あった!
うわぁ〜、マジで 10%のサービス料だ!

「なぁ、計算機、持ってないよな?」
持ってるわけないでしょ!?」(妻:爆)
そっかぁ〜、ウェイトレスに計算機、持ってきてもらおうかなぁ。
サービス料金を足してから消費税かかるのかなぁ?
それとも消費税払ってから、それの 10%かなぁ?
う〜ん、困った。 計算できないぞ・・・・・。

コース料理はあとデザートのみとなった。
その前に何か頼もう。
メニューを見ると、手の届きそうな \1,000以下のものはあまりない。
\500 が何品かと、\350 のまんじゅう、\200 のパン、その中から選ばなくてはならない。


ここで、私の超スーパーSLOW CPUが動き出した。
\3,900 × 2 = \7,800 だろ?
で、\500 足すと \8,300 だから・・・、それに \350 を足して、あれっ?いくつに足すんだ?
えーっと、もとい。 \7,800 + \500 = \8,300 で、\8,300 + \350 = \8,650
\8,650 の10%は \860 だから、\9,490 かぁ。
んでもって、消費税 5%・・・、\1,000 の5%は \500 だから・・・・、
よしっ、\10,000 は越えないはずだ。
これにプラス \200 のパンを頼んだら、絶対越えるわな。
\500 のものを2品頼んでも越えるはずだし・・・・・。
これでいこう。

結局、コース料理のデザート出る前に肉まんじゅうと餅を揚げたものを頼んだ。

デザートもおいしかったし、妻も私も大満足♪

レジへ向かった。
緊張の瞬間だ。
\9,910 になります。
お゛ぉ゛お゛ぉ゛お゛ぉ゛〜〜〜、完璧だぁ゛あ゛ぁ゛あ゛〜〜〜〜!
あっ、失礼しました。 \9,990 になります。
お゛ぉ゛お゛ぉ゛お゛ぉ゛〜〜〜、さらに、もっともっと完璧だぁ゛あ゛ぁ゛あ゛〜〜〜〜!
1万円分の商品券を出した。
お客さま、この商品券ですと、おつりをお渡しすることができませんが、それでよろしいですか?
いいに、決まっとるじゃんけぇ〜〜、ボケェ〜〜!!
って、私って、そんなにケチに見えるんですか?

レストランを出た。
私、\9,990 って聞いて、思わず笑いそうになったよ。」(妻)
完璧なプラニングに大満足の私だった。

 今回のお話で、
 読者の方から、なんで携帯についている計算機機能を使わなかったのか?
 というメールを頂きました。
 そうなんですね。 最近の携帯には計算機がついているのですね。
 私も妻も、まだ携帯を持っていないのです。




2002.10.15

伊丹の事務所へ出頭した。

上空に寒気が入っているせいで、西日本から関東にかけてそこらじゅうに積乱雲がある状況だった。
米子空港だったか、午前中から着陸できずに上空で待機している飛行機がいた、という情報もあった。

関空では某航空会社がタイヤのトラブルで滑走路上に停止し、滑走路が一時的に閉鎖。
伊丹空港へダイバートした飛行機もあったらしかった。

なんか、ヤバ〜イ気分だ。
今日は何か起こったりして・・・・・。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

伊丹から佐賀へ向かう途中、積乱雲の壁を突っ切らなくてはならないかと、最初は不安だったが、
幸い移動速度が速く、私達が離陸するまでには神戸の近くまで来ており、
上昇中、隙間をぬって飛ぶことができ、それほど揺れずにすんだ。
その真っ黒い壁を突き抜けると、西には比較的良い天気が広がっていた♪
まずまずじゃん!

西に向かうにつれて雲はなくなり、しばらくすると青空になった。
が、同時に上空の気圧の谷を通過しなくてはならず、結構揺れた。
南西風が西風、北西風に急激に変化し、さらに速度が増した。
晴天なのに揺れが続き、シートベルトサインを消せない状態は悔しい。

帰りは四国の上空を通るが、そこにはまだ積乱雲の壁があった。
高度はいくらにすればいいかなぁ・・・・。
あれを、また途中で突っ切るの、イヤだなぁ・・・・。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

佐賀空港を離陸滑走し、浮き上がった・・・、と思った瞬間、コツン、と小さな音がした。
キャプテンはこちらを向き、顔をしかめている。
小鳥に当たったみたいだね。」(キャプテン)

これって、ひょっとして、やっぱり今日はツイてない日?

四国上空にあったはずの積乱雲は南東に移動し、徳島までは気流良好だった。
しかし、進路、向かってやや左斜め前方には、さっきまでなかったはずの大きな積乱雲の塊があって、
雷がピカピカ光っている。
あれって、伊丹の近くなんじゃないの?
大丈夫かなぁ・・・・・。

機上レーダーをつけてチェキッ〜♪
クッキリ映っているじゃんかよぉ〜♪
しかも伊丹に接近中〜♪

それは北東から南西に帯状に連なっており、まさに伊丹空港へのアプローチコース上に近づいている。
そして、南西から北東に移動しているので、一度、伊丹にかかったら、しばらく抜けそうにない。
あれがかかってくる前に、着陸せねば!
こういうときにかぎってアプローチ機は多く、順番はかなり後のほうだ。

頻繁にピカピカ光る積乱雲を左に眺めながら、関空の上空付近を通過し、伊丹へ向けて降下していった。
既に積乱雲の端がアプローチコース上にきてしまっていた。
飛行機に雷が落ちないかなぁ?
あの雲の下を低高度で通過しているときにマイクロバーストに遭遇して、風が急激に変化すると危ないなぁ。

それでも、他の飛行機はアプローチを続けている。
どっかでホールドした方がいいかも・・・。
やめようか。 ちょっと待ってみよう。」(キャプテン)
「そうですよね。 しっかし、みんな、勇気ありますよね?」
そうだね。 よくアプローチするよね。 それとも、たいしたことないのかなぁ。
 うちも、やっぱり1回、アプローチしてみようか?
」(キャプテン)

さらに高度を下げながら伊丹に近づくと、やっぱりヤバイような気がした。

伊丹から離陸しようとしている飛行機が管制官に言った。
離陸を見合わせます。」(パイロット)
何分ほどでしょうか?」(管制官)
無期延期、ということで、よろしくお願いします。」(パイロット)

そうだよ、離陸経路上に積乱雲があるんだから、離陸できないさ。
アプローチ機が着陸に失敗して、やり直すためにゴーアラウンドしたら、
離陸機と同じ経路を飛ぶわけじゃん。
みんな平気でアプローチしてるけど、もしゴーアラウンドしたらどうするんだろう?
絶対、着陸する、って確信してるのかなぁ?
風が急激に変わって、危ないっ!、って思ったとき、ゴーアラウンドしたら、
間違いなく積乱雲に突っ込むんじゃないかなぁ?
みんな、そこまで考えて飛んでるのかなぁ?

ILSの電波に乗ってアプローチを開始しようとしたそのとき、
やっぱり、やめよう。」 と、キャプテンは言った。
左に旋回することを管制官に要求し、SHINODA の上空 5000feet でホールディングすることにした。

伊丹空港へアプローチする飛行機がホールディングできる場所は
SHINODA のほかに YAMATO という地点がある。
SHINODA は積乱雲の端、ギリギリの所だったので、本当は YAMATO に行くべきだったかもしれないが、
SHINODA はすぐ近くだったのでそちらを選んだのだ。

飛行計画上のダイバート先は羽田だった。
しかし、帯状の積乱雲が通過するまでにかかる時間を考えると、
羽田へ向かう燃料を残すためには、それほど上空で待機することができない。
すぐ斜め下に関空が見えていたので、もし燃料が足りなくなったら関空へ行こう、ということになった。
その方が、より長く上空で待機することができる。

それまで、勇気あるパイロット達は積乱雲の下をかいくぐっ伊丹へアプローチしていたのに、
私達がホールディングを要求すると、みんなホールディングを要求しだした。
なーんだ、みんな不安は不安だったのね。

SHINODA で 5000feet でホールディングしていると、管制官から 6000feet まで上昇するよう指示された。
下を見ると、1000feet 下に、下から入ってきた飛行機がいるではないか!
ホールディングは普通、後から入ってきた飛行機を上に積み上げ、
下からアプローチさせていく。
彼らは後からホールディングに入ってきたのに、私達より先にアプローチさせる気かい?
文句を言っても仕方がないので、だまって 6000feet まで上昇すると、
積乱雲にやや接近してしまい、揺れるではないか!
クッソー!
(ルール違反で下から入ってきた)お前のせいで、こっちは揺れるじゃんかよー!

仕方ない、YAMATO へ行ってホールディングしようか?」(キャプテン)

管制官に 9000feet まで上昇して YAMATO へ行くよう指示された。
これで、下に何機いるのか知らないが、アプローチの順番はさらに後回しだ。

本来なら一番最初にアプローチを断念してホールディングを開始したわけだから、
天気が回復したら一番最初にアプローチできるはずなのに・・・・・。
かなり不満だったが、下をみると沢山の飛行機が、みんな同じようにホールディングしているではないか。
その光景は、まさに 「ダイ・ハード2」 だ♪
なぜか、ちょっとだけ嬉しくなってしまい、さっきまでの不満は消えていた。

それにしても、積乱雲はなくならなりそうにない。
瀬戸内で新たにわきあがり、発生し、どんどん伊丹へ流れていっているようだった。
私達の飛行機は伊丹に降りてから、折り返し高知への最終便だ。
高知空港は20:30に閉まるので、そこから逆算する。
伊丹−高知の飛行時間を40分とって、19:50には出発したいわけだから、
この便は遅くとも19:20には Spot-In しとかないと・・・・・。
間に合うかなぁ・・・・・?

カンパニー無線を聞いていると、積乱雲は未だアプローチコース上に居座っているものの、
どうやら勢力はやや弱まり、先ほどまで出ていたマイクロバースト注意報は解除されたようだった。

私達の下の飛行機から順次、アプローチが再開された。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

伊丹空港へは50分遅れの19:15に到着。

念のため、ディスパッチャーに高知空港の運用時間の延長を依頼し、
伊丹 → 高知 の最終便は本来の運用時間を3分超えた 20:33 に到着した。
幸い、私達が最後の便ではなく、羽田から来たB767が、私達より数分送れて到着した。
羽田は南西からの強風のため使用滑走路が22で混雑した関係で、
かなりの便に遅れが発生していたようだった。
もし、伊丹に降りれず本来のダイバート先だった羽田に燃料ギリギリで飛んでいっていたとしたら、
途中の浜松に降りて浜松ステイだったかなぁ?
ウナギ食えたかなぁ?

佐賀空港から伊丹空港への到着が遅れてお客さんに迷惑をかけ、
高知行きの最終便が遅れてお客さんに迷惑をかけ、
さらに地上スタッフや、高知空港の管制官、その他関係者のみなさんに、
多大なご迷惑をおかけしました。
ご協力くださって、どうもありがとうございました!



2002.10.18

千歳 → 新潟(538便)

中学生の修学旅行だったようで、満席だった。
ディスパッチで、首を骨折したお客さんが乗ってくる、とのブリーフィングを受けていた。
さらに飛行機へ行くと、客室乗務員(CA)さんから、
盲目のお客さんが盲導犬と乗ってくる旨の連絡を受けた。

犬好きの、特にラブラドール大好きキャプテンに言った。
「盲導犬が乗ってくるそうですよ♪」
えっ! ほんま?!」(キャプテン)
「ええ、きっとラブラドールですよ。」
ラブラドールかぁ。 可愛いよなぁ。」(キャプテン)

いっきにエンジン音が大きくならないように、ゆっくりめにスラスト・レバーを前に出し、
エンジン出力を上げ、離陸滑走を開始した。
盲導犬、ビックリしなかったかなぁ。怖くないかなぁ。
V1、VR、V2」(キャプテン)
いつもより、さらに注意深く操縦桿を引き、機首を持ち上げた。

修学旅行の生徒達の歓声が聞こえるかと思ったが(以前、そういうことがあった)
今回は何も聞こえなかった。
犬は大丈夫かなぁ・・・・。

今日は気流が良好であることが分かっていたので、上昇中からシートベルトサインを消した。
犬、きっとビックリしたやろうなぁ?
 どないなってんねん?とか思いながらも、黙ってご主人様の足元に座ってるんやろうなぁ。
 偉いなぁ。
」(キャプテン)
そっかぁ、キャプテンも私と同じ事を考えていたんだなぁ。
私は頭の中で犬の漫画を書いていた。
「どないなってんねん?」って言葉を会話のマークでつけたら、きっと面白いだろうなぁ。

コックピットでの会話が、以後、犬の話でもちきりになったことは言うまでもない。
(もちろん、ちゃんと業務をしながら)

修学旅行の生徒たちもいることだし、アナウンスを入れておこう。
真下が函館で、あと6分程度で青森かぁ。
なんて言おうかなぁ。
「間も無く、みなさまの左手に青森が見えて参ります。」
って言ったら、盲目のお客さんに対して失礼なのだろうか?
それとも、見えないからこそ丁寧に言葉で説明したほうが良いのだろうか?
そんなことを考えながらマイクのスイッチを押して話し出すと、
言うことが決まっていなかったために、しどろもどろになってしまった。

「キャプテン、犬もいることですし、ちょっと早めに降下します。」

ジェット機では、原則、エンジンを絞りきって、速度を一定に保つように頭を下げるのだが、
犬が驚かないように、速度を保ちつつ、降下率が大きくなりすぎないように、
エンジンの出力をやや残し、頭が下がり過ぎないようにしたかった。
当然、単位時間当たりに下ろせる高度は少なくなるので、
いつもより早めに降下を開始しないと間に合わないのだ。

新潟へのアプローチはとてもスムースだった。
首を骨折したお客さんに負担がかからないように、やさしく接地させないとなぁ。
できれば、いつタイヤがついたか分からないぐらいのタッチダウンがしたいなぁ。
でも、滅多にできないよな。しかも狙ってできるわけでもないし。

コックピットの窓から見える滑走路の形、接近速度、風を考えながら、
可能な限りゆっくり機首を持ち上げながらパワーを絞った。
よし、ここ、ここだ、あと1cm。
トンッと軽くつくことはできたが、やはりタイヤのつく瞬間は感じられてしまった。
まぁ、しょうがないか。

沢山の修学旅行の生徒達が降り、最後に盲導犬と男性の老人が降りてきた。
キャプテンも私も、今か今かと待っていた。
「あっ! やっぱりラブラドールだ。」
赤い服?を着せてもらったラブラドールが、かなり足早に歩いている。
あれぇ〜、普通はご主人の歩調に合わせて歩くよなぁ?
なんか、引っ張ってねぇか?
『あぁ〜、もう飛行機なんて嫌いだぁ〜。 早く行こうっ。』って感じだな、あれ。」(キャプテン)
犬を持つ腕が伸びきり、若干後ろに傾斜しながら引っ張られていく老人と、
前傾姿勢でいかにもグイグイ引っ張っている感じのラブラドールを見ながら、
嬉しそうにキャプテンは言った。

そして最後に首を骨折された男性が車椅子に乗って降機した。
お疲れ様でした♪

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

新潟のホテルで1階からエレベーターに乗った。

10階の自分の部屋に行く途中、4階でおばさん4人が乗ってきた。
おかしいなぁ
どうみてもこれから出かけるみたいな服装してるのに、
何で下行きではなく、上行きに乗ってきたんだろう?
ドアが閉まり、しばらくして1人が言った。
あら、、、、、まぁ、待っていれば。」(おばちゃん)
何か言いかけて黙った。 他の3人も無言のままだ。
??????
やっぱり間違えて乗ったんだな、きっと。

「下に行こうとされていたのですか?」
ええ、そうなんですよ。」(おばちゃん)
「あっ、上行きですみません。」
いいのよ。 それに、若い女性4人と一緒で、いいでしょう?」(おばちゃん)
どこが、「若い女性」じゃぁあ〜〜〜!!??、と思いつつも、
「そうですねぇ。 両手、両足に花ですねぇ〜。」
そのとき運良くエレベーターのドアが開いた。 10階だ。

「失礼しま〜す♪」

おばちゃん達は、笑顔で私を送り出してくれた。



2002.10.19

朝、6:35にホテルを出てタクシーで空港へ向かった。
昨晩は21:00に寝て、5:50に目が覚めたので、8時間半は寝てるはずなのに眠い!
そして、それは私だけではなかったようだった。

タクシーの前を走っている水色のマーチ(車)が、
黄色いセンターラインに近づいたり、離れたりしながら、フラフラ走っていた。
あまり気にもとめず、私は新聞を読んでいた。

信号で停止し、ふと、前を見た。
それとほぼ同時に、タクシーの運転手さんはアクセルを踏み込み、
加速しながら黄色いセンターラインを越えて前の車を追い越そうとした。
えっ!?

信号は緑に変わり、マーチの前の車は行ってしまったが、マーチは停止したまま。
そのマーチを追い越そうとしていたのだ。
よくみるとマーチの運転手さんはうなだれている。
携帯でメールを打ってるのかな? 地図見てるのかな?
追い越しながら見ると・・・・・、け゛ぇ゛ぇ゛え゛え゛〜〜〜〜ッ!!??
寝てんじゃんかよぉー! 完璧に!
爆睡しているではないくゎぁああ〜〜〜〜!!

追い越しきってから後ろを振り返ると、私達の後ろの車もマーチを追い越し終わり、
今まさに路線バスが追い越しにかかっていた。

呆れたものだ。

「今の人、寝てましたよ!」
完全に酔っ払ってますわ。 さっきからフラフラ運転してたでしょ?
 酔ったまま運転してて、寝てしまう人、結構、多いんですよ。 困ったものです。
」(運転手)

マジッすかぁ〜。 多いんっすかぁ〜。
ダメ、ダメ、ダメーーーーッ! 絶対、バツ、バツ、バツ、ですぅ〜♪

お酒を全く飲まない私にとって、全く、アンビリーバボーな出来事だった。



2002.010.25

久しぶりにスキャナーを使う作業をした。
電源をつなぎ、USBケーブルをつなぎ、原稿をセットしようとフタを開けた瞬間、
私は固まった。
!!!!
け゛け゛ぇ゛ぇ゛え゛え゛ぇ゛ぇ゛え゛え゛〜〜〜〜〜ッ!!!!????

なんとそこに見覚えのあるカードが裏返しになって置いてあった。
免許証だっ!
そういえば、今から数週間?1か月近く前、ずっと忘れていた住所変更をするため、
確認の書類として免許証のコピーが必要になって、
コンビニにわざわざコピーをしにいくのが面倒で、
スキャナーで取り込み、印刷して送ったのだった。

あれから神戸まで小旅行にも行ったし、かなり車とバイクを乗り回している。

忘れ物の多い私に、家を出る前、
ちゃんとサイフを持った?」 と、しつこいくらい何度も妻に確認される。
ポケットにサイフが入っていることは確認していたが、
まさかサイフに免許証が入っていなかったとは・・・・。

警察官に止められることがなくて良かったぁ〜〜♪



2002.10.28

初便はキャプテンによる操縦だったので、
キャプテンが客室乗務員(CA)に運航前のブリーフィングを行った。

・・・・副操縦士は、えーっと・・・・・・、えぇー・・・・・、なおです。」(キャプテン)

何故か私の苗字をど忘れしてしまっているキャプテン。
CAさん達は笑っていた。

私も同じ経験をしたことが何度もある。
自分より年下のひとの名前を忘れるのは、申し訳ないけど、ゴメン、ゴメン、で済まされるところがある。
しかし、年上、とくに仕事上の上司となると、メチャクチャばつが悪い。
ときどき課長クラスより上の人の名前をど忘れする私は、痛い経験が多い。

そういえば、私の親友もかなり激しく人の名前を忘れる。
えーっと、しょうこ、じゃなかった、えつこ、えっと、よしこ、ゆめ、って、
 オマエだれだっけ・・・・、なお、だ、なお。

男の名前と女の名前をゴッチャにするなぁ゛あ゛ーー!! と彼には言いたいものだ。

クルーブリーフィングが終わり、コックピットに入って着席した。
キャプテンがオロオロ、いつもと明らかに違う動作をしている。
左手にはサングラスのケースを持っている。
何かを探しているようだ。
あれぇ〜、メガネ、どこにいったかなぁ〜?」(キャプテン)

おかしいなぁ、このキャプテン、目はいいはずだし、いつからメガネが必要になったんだ?
ひょっとして老眼? ん、なわけないわな。まだ40前だし・・・・。

サングラス、どこいったかなぁ〜?」(キャプテン)

もう、かけとるじゃんか、わりゃぁ〜!!

あっ、いかん、いかん、かけてたか。」(キャプテン)

すでに真っ黒く、大きなレンズのレイバンをかけている。
視界が暗かろうに、どうして気づかんのじゃぁ〜〜〜??

書くなよぉ。」(キャプテン)

書くな、って、それって、パイロット・ダイアリーのことかしらん?
最近、会社の人達も私のHPをチェックしているようで、困っている。

ちなみに、サングラスではないが、
メガネを額に乗せたまま、ネガネがない、ない、と探し回るキャプテンもいる。

きっと、いつか私もそういうことをして若手の人達に笑われるのだろう・・・・・。