2006.02.05

スタンバイの予定だったが、昨日、便が乱れたせいか、
スケチェン(スケジュール・チェンジ)で羽田−大館能代、789、790便を飛んだ。
大館能代に着陸後、夕食の弁当が搭載される。
大館の弁当はしばらく食べていないが、おいしいことは分かっている。
ラッキーなスケチェンだ。

朝刊の天気予報では、日本海側も昼から雪マークがなかった。
うん、いい感じだ。
きっと、私達が大館に到着する頃、天気は良くなっていることだろう。

伊丹から羽田に便乗で移動。
羽田行きの飛行機に乗る前に、事務所に寄って天気を調べた。
え゛ぇ゛ーーーーっ?!?!
秋田空港の予報、悪いじゃん??
(大館能代空港の予報はないので、近場の秋田と青森を調べる。)
18:00まで視程1500mで、18:00以降は視程3000m?
風が西風で30kt近く吹くの?
大館は東風じゃないと最低気象条件がうーんと悪くなる。
大館空港周辺でこの天気になると着陸できないぞ。

そこへ、今から大阪発大館行きの便を飛ぶ乗員がやってきた。
そのキャプテンが言った。
なぁ、能代行き、代わってくんない?」(能代行きのキャプテン)
「ダーメですよ。 僕、今から羽田に行って、その後能代に行くんですから。」
なーんだ。 今日、降りれるかなぁ?」(能代行きのキャプテン)
「微妙ですねぇ。」

羽田に到着。
大館能代に着陸できないことも考え、売店でおにぎりを調達した。
その後、ディスパッチへ行き、天気をチェック。
14:30頃まで悪かったようだったが、それ以降、かなり回復してきている。
でも、油断は禁物。
出発時刻の55分前、15:00に、新しい空港の予報が出る。

15:05になった。
最新の予報をチェック。
秋田空港の予報は・・・・・・。
ガーーーンッ!!!
悪化してんじゃん?!
12:00の予報では18:00前まで視程1500mだったのが、
15:00の予報では視程800mになってる!!
しかも西風が強い。
この風が能代で吹くと、ILS 11 からのサークリング 29 になる。
マズイぞ、マズイぞぉ〜。
ディスパッチャーが言った。
「(もし能代に着陸できなかったら)、ワースト、秋田 or リターンです。」(ディスパッチャー)
そっか。
降りれなかったら秋田に行くか、それもダメなら羽田に戻るのね。
レーダー・エコー図を見る限り、強い雪雲は秋田空港上空には流れているが、
能代はそうでもない。
弱い雪雲で、かつ、ベッタリではない。
隙間がありそうだ。

燃料をたーっぷり積んで、羽田を離陸した。
上昇中に能代の天気をチェック。
おっ! いいじゃん?!
もしかして、着陸できるんじゃないの?
降りなきゃ弁当、食べれないからな。
イヤ、まだ分からない。
先日、ワースト・インフォつけずに新潟へ行って、
急に天気が悪化してアプローチもせずに引き返したことがあったっけ。

16:50に終わる予定だった除雪作業がかなり早く終わったようで、
16:40にはブレーキング・アクション(路面の滑りやすさ)の計測まで終わっていた。
MG(Medium to Good)だ。
ILS 11 でストレートインするには追い風なので着陸重量が重すぎる。
29 へサークリングすれば全然問題ない。

管制官から能代への進入許可をもらった。
秋田上空を 11,000feet で通過し、Nossy South Arrival でさらに降下した。
その途中、17:00の新しい大館能代の天気が管制官から通報された。
視程5km、シーリング 2500feet。
よっしゃ!
全く、問題ない。

確実に一回はゴーアラウンドするだろう、と覚悟していたのに、
予想に反してサークリングして普通に降りれてしまった。
良かったのだけど、ちょっと拍子抜け。

久しぶりに食べた大館の弁当は、メッチャ、うまかったぞぉーーーーっ!!



2006.02.06

その後、ザリガニの赤ちゃん達は元気に生きてます。
でも、水温が低すぎるせいか、ほとんど大きくなっていません。
共食いが始まる、という話も聞いていましたが、
今のところそういうこともないようです。
大きくならない = エサをほとんど食べない = 共食いが起こらない
ということでしょうか?






2006.02.20

747便(羽田→能登)は Open Spot 506 からの出発だった。

お客さん達を乗せたバスの飛行機への到着が遅れたため、
出発時刻は定刻より7分遅れ。
506番スポットから離陸滑走路 34R End が見える。
うひゃっ!
離陸機が溜まってるぞ。
7機はいるな。
これは、さらに遅れそうだ。

エンジンをかけ、管制官から地上滑走の許可を得た。
う〜ん、やっぱり混んでいる。
7機以上、我々の前にいそうだ。

Runway 34R に平行に走る誘導路を南へ 34R End へ向けて進んでいくと、
34Rに進入してくる飛行機が見えた。
マジかよ。
離陸機がこんなに溜まって待ってるのに、34Rに着陸するなぁーっ!!
(34Rは離陸に、34Lが着陸に使用されることが多い)
(離陸専用の滑走路に着陸機がいると、離陸機が待たされる時間は長くなる)

B777が34Rから離陸し、そして、進入してくるB737が 34R End に接近してきた。
早く着陸してねぇ〜、と・・・、あれぇ〜〜???
ゴーアラウンドしたよ?!
なんで、なんで???

しばらくして、管制官が34Rの手前で待つ離陸機、全機に対して通報した。
バードストライクがありましたので、34Rは閉鎖します。
 点検にかかる時間が15分程度です。
」(管制官)

ガーービィィーーーンッ!!!
離陸機のB777が離陸滑走路中に鳥に当たったのね。
それで、後ろから来たB737がゴーアラウンドしたのね。
困ったなぁ。
うちの前に離陸機が7機いるわけだから、
滑走路の点検終了後10分ぐらい待たされるかもしれないわけだ。
滑走路の点検に15分かかるわけだから・・・・、25分も遅れるの!?!?

焦っても仕方ない。
待つしかない。
アナウンスを入れた。

意外と早く滑走路の点検が終わり、私達の前の飛行機がはけ、私達の順番が来た。
それまで34Rに平行に走る誘導路を南へ向けて走行していたが、
34R End で左に曲がり、34Rに入った。
私達の前には7機いたけど、後ろには何機いたのかが、ここで分かる。
ウッ、フッ、フッ。
10機はいるな。
振り返ったとき誰もいなくて、うちがビリだととっても悲しい気分になる。(そういうことが多々ある。)

離陸までに時間を要したため、
上空でかっ飛ばしたが能登空港への到着は定刻16分遅れとなった。

折り返し、748便。
清掃さん達が手際よく仕事を終わらせてくれたので、
少しは時間を取り戻せるか、と思ったが、結局出発時刻は定刻22分遅れだった。
その遅れを取り戻すべく、少しでもショートカットしながら飛ぼうとしたが、
羽田への北からのアプローチ機が多く、減速させられ、
コンピューターが計算する羽田空港着陸時刻は15分遅れ。
もうどうにもならない。

羽田空港は ILS 34R、ILS34L の平行進入をしていた。
到着スポットは再びオープンの508番。
34Rで着陸した方が、着陸後の地上走行距離が短く、到着時刻を短縮できる。
でも、着陸滑走路を決めるのは管制官。
私達の滑走路は34Lと管制官に通報されていた。
ところが、進入開始点の少し前で滑走路の変更が告げられた。
よっしゃーーーっ!!!!
来た、来た、来た、来たァァァアアアーーーーッ!!!!
34Rに変更だゼイ!
イエッス!!(ガッツポーズ)
これだけで到着時刻を3分は縮めることができる。
なんてラッキーなんだ!

私達の前の飛行機も着陸滑走路が34Rだった。
先行機が着陸し、滑走路から出る頃、私達も 34R End に近づいていた。
低い雲があったため、滑走路が見えたのは高度 800feet を切ったところ。
げっ!!
34R End に離陸機が2機、待っているのが見えた。
ゴメン、ゴメン。
待たせちゃって。
とっとと着陸して、すぐに滑走路を空けるから許してね♪

508便に一番近い C7 誘導路から滑走路を出るため、
リバースはすぐに戻し、オートブレーキもはずして転がした。
それでもかなり遅い速度で C6 誘導路入口付近を通過するとき、何かが視野に入った。
あっ! あれは何だ?
細長いゴムだ。
滑走路の中心線の少し左側に、細長いゴムらしき物体が落ちているのが見えた。

「今の物体見えました。」
いや、見えなかったよ。」(副操縦士)
(ダブルキャプテンで乗務しており、右席には先輩キャプテンがいた)
いやぁ〜、なんで見えちゃったかなぁ〜。
滑走路に何かが落ちてるって言ったら、きっと滑走路閉鎖だぞ。
でもなぁ〜、離陸機の安全を考えると、レポートしておいた方が親切だよな。
離陸機、待たされるんだろうなぁ。
でも、仕方ない。

「C6 のちょっと先、中心線の左側に細長いゴムが落ちてましたので、管制官に一報入れてください。」

それから数分後、管制官の声が聞こえた。
ランウェイ・チェックのため、34Rを閉鎖します。」(管制官)

748便は13:15着。
定刻20分遅れだった。



2006.02.26

昼に那覇空港で調べた空港予報では、
発達した低気圧の影響で、夕方、千歳空港の強風を予想していた。
160度の方向から 35kt、ガスト 50kt?!(ガスト=風の息)
そんなに吹いたら、さぞ揺れるんだろうんなぁ。
でも、未だかつて、私が乗務する便では強風の予報、当たったためしがない。
今日もきっと、千歳に着く頃までには低気圧が東へ進む、風は弱まっていることだろう。

那覇を離陸し、新潟へ向かった。
北海道に中心を持つ低気圧から伸びる長い前線が、那覇まで届いていた。
それに伴う雲の中を、前線に沿ってガタガタ揺れながら飛行した。
飛んでいる飛行機から、沢山の揺れのレポートが聞こえてくる。
前線の中は雲で揺れるし、前線が東に通りすぎた九州では、
前線の後ろ(西側)から接近してくるシャープな気圧の谷の影響で、
雲の中で揺れる以上の強い揺れが報告されていた。

私達も鹿児島を過ぎた辺りで揺れが始まり、
一旦は大分の手前で収まったものの、大分の北で強い揺れがあり、
シートベルトサインを12分間ほど水平飛行中にONにした。

那覇で調べた予報では、目的地の新潟空港も地上の風が強まるはずだった。
上空で何度か ACARS を使い、新潟、千歳、羽田の現況の天気の情報を収集した。
新潟で吹いている実際の風は予報よりかなり弱い。
ほーら、ごらん。
予報ははずれることが多いのさぁ〜♪
どれどれ、千歳は・・・・・・。
ガーービィーーン!!
風、マジ、強!
150度から 28kt、ガスト 40kt?
いやいや、大丈夫。
私達が行く頃までには弱まってるはずだから。

新潟空港に到着し、ディスパッチで千歳の状況を確認。
ゲェーーーーッ!?!
ほんとに風、強いんだぁ〜。
地上の風 50kt は、私にとって、まだ経験したことのない未知の領域。
楽しみだなぁ。
えっ?
1機、ゴーアラウンドした飛行機がいるんですか?
それは大変だ。
きっと、気流、悪いんだろうなぁ。

新潟を離陸し、千歳へ向かった。
千歳のカンパニー無線を聞いていると、アプローチ・コンディションがよくわかる。
少しずつだけど、風がさらに強くなっている雰囲気だ。
千歳空港の天気(ATIS)によると、どんどん気圧が低くなっている。
低気圧の勢力が強まっているのか。
気圧が急激に下がれば、風は強くなって当然だ。

千歳へ向けて降下を開始。
レポート通り、5,000feet 以下はガッタガタだった。
5,000feet 近辺で160度から 50kt ほど吹いていた。
普通は地上に近づくと風は弱まる。
5,000feet からさらに高度を下げていくと、風はどんどん強まり、
3,000feet、2,000feet では150度から 80kt も吹いているではないかっ!?

気流はガッタガタを超え、もうグッチャグッチャだ。
なんじゃ、こりゃ。
まぁ、でもこれぐらいなら、今まで経験したワーストの気流と同じぐらいか。
まだまだいける。
うーーーん、でもスゴイ。
2,000feet で 80kt とという風には出くわしたことがないぞ。
向い風が強過ぎて、なかなか滑走路にたどり着かない。
時間がかかる=強烈に揺れている時間が長い=お客さんが酔う
困ったぞぉ。
きっと、誰か気持ち悪くなってしまった人がいるはずだ。
早く着陸しなくちゃ。
って、どうにもならないか。

2,000feet で Glide Slope の電波に乗り、3°のPathで高度を下げて行く。
1,000feet を通過する頃、雲の下に出て滑走路が見えた。
まだ 70kt も吹いてる。
滑走路の枠を形作る滑走路灯の台形の形を目に焼きつけ、
平均的な必要パワーの量と、そのときのスラストレバーの位置を手に記憶させる。
ここからは、スピード、エンジン出力、風、ピッチ等、計器ばかりを見ている余裕はない。
800feet 通過。
ぼちぼちオートパイロット切って、気流に慣れとくか。
チラッを計器上の風を見ると、150度から 58kt。
よっしゃ、いくでぇ〜。

500feet 通過。
Five hundred.」(コパイ)
「Stabilized.」

300ft 通過。
Approaching Minimum.」(コパイ)
「Checked」

200ft 通過。
Minimum.」(コパイ)
「Landing」

時々、片方の翼が落ちるような気流を受けて、
エルロンとラダーで支えながら、滑走路末端を通過。
よっし、もらった。
つけるぞ。(車輪)
おっと、浮いた。
スパーン、とスラストレバーをアイドルまで絞った。
滑走路は十分長いし、向い風が強いでの接地点が伸びても性能上問題ないが、
接地帯標識内にはタイヤをつけたい。
機体が浮き上がったままの状態が長く続いたように感じたが、
Ground Speed(対地速度)が遅いせいか、余裕で接地帯標識内に車輪がついた。

良かった、良かった。
着陸できた。
しかも定刻だ。

地上走行の速度まで減速すると、地上の風がいかに強いかがよくわかる。
垂直尾翼に当たる風で機体は揺れるし、
雨は地面に対してほとんど水平に降っていて、文字どおり横殴りだし、
路面にたまった水には波紋ができているし。
これはひどい。

次便、関西空港行きの出発準備のため、レインコートを着て飛行機の外部点検をしていた。
機首、胴体の右側、右翼、右エンジン、胴体右後部、右水平尾翼を確認し、
方向転換して左水平尾翼の方向へ歩こうとした。
体が止まった。
ん??
ちょっと前傾姿勢になったが前に進まない。
同時に一瞬、呼吸ができなくなった。
ものすごい正面からの突風だ!!
もう少し体を前傾させ、ようやく足を一歩、踏み出すことができた。
外部点検するときにいつもはかぶる制帽を、意図的にかぶらなくて良かった。
飛ばされたら大変。

「外、すごかったですよ!
 風で体が飛ばされそうになりました。」
本当にすごい風ですよね。 私、少し乗り物酔いで気分悪いです。」(CA)

飛行機に乗り慣れたCAさんでも酔ってしまうなんて。
確かに停止している飛行機が、船のように揺れている。
きっと、着陸前、客室はそうとうひどい揺れ方をしていたのだろう。
それにしては、酔って気分を悪くして歩けなくなった人、一人しかいなかったけ。
不幸中の幸いだ。

千歳 → 関空 1718便は、強烈な向い風でかつ、関空のアプローチが ILS 24 だったため、
到着予定時刻は定刻より15分程、遅れるはずだった。
ところが、空港予報の通り風が変わり、関空の使用滑走路が 06 になり、かつ、
うちが1番のアプローチ機で ILS 06 への誘導が最短コースだったために、
到着は定刻+4分遅れまで縮めることができたのだった。