たんぱく質


ダイエットのために食事量を減らし、カロリーを減らすと、体は脂肪を燃やす前にまず筋肉を燃やします。
「飢餓モード」に入った体は、少しのエネルギーで活動できるように、
代謝の速度を遅くすることを説明しました。
同じだけ活動しても、少しのカロリーしか消費しないようにするには、筋肉を減らせばいいのです。

仮に体重80kgの2人が一緒に走ったとします。
一人は筋肉質で体脂肪5kg、もう一人は体脂肪15kg。
体脂肪15kgの人の方が疲れるでしょうが、より少ししかエネルギーを燃やしません。
体脂肪5kgの人の方が筋肉が多いので、疲れにくいですが、より沢山カロリーを使います。
なぜなら、カロリーを消費するのは体脂肪ではなく、筋肉だからです。

筋肉はたんぱく質でできていますが、たんぱく質をアミノ酸に分解し、
これをさらにグリコーゲン(炭水化物)に変化させ、エネルギーとして燃やしながら筋肉を減らします。
筋肉が減れば、運動量が同じでも、消費エネルギーは減るわけですから、
たとえダイエットで摂取エネルギーを減らしても、体は脂肪を燃やす必要はなくなります。
ダイエットをしても体重が減らず我慢できなくなり、ダイエットを放棄し前と同じ食生活に戻ったとき、
筋肉の総量が減っているためダイエット前より体が必要とする総カロリーは減っており、
余った分を脂肪として蓄積するため以前より太ることがあるのです。
総カロリーを減らしながら、筋肉の量を維持できるかどうかが、ダイエットに成功する秘訣です。

たんぱく質が分解されてできるアミノ酸について考えてみましょう。

炭水化物が分解されてできるグリコーゲンは、体内に蓄えることができます。
筋肉中、血液中、肝臓の中、あらゆるところに蓄えられます。
グリコーゲンは体が最も燃やしやすい物質であり、運動すると最初に使われます。
有酸素運動(ジュギング等)をするとき、20分以上続けないと脂肪が燃えない、
と言われるのは、体がグリコーゲンを最初に使うためです。
体内のグリコーゲンが減ってくると、体は筋肉をアミノ酸に分解し、
それをグリコーゲンに変えると同時に脂肪を燃やし始めます。 これに20分かかるわけです。

アミノ酸はグリコーゲンと違い、体内に蓄えることができません。
たんぱく質は消化されてアミノ酸になり、血中に溶け込んだ後、
分解された筋肉を再生するために使われ、残りはエネルギーとして使われ、
余ることがなく、蓄えられることがありません。
余分なアミノ酸を蓄える場所もないのです。 全て使い切ってしまうのです。
従って、血液中のアミノ酸が不足し、必要になると筋肉を分解せざるをえないのです。
筋肉が分解されれば、脂肪を燃焼する効率が下がるのは、すでに説明しました。

では、どうすれば筋肉が分解されないで済むのでしょう。
答えは、簡単。 血液中にいつも充分なアミノ酸がある状態に保てばいいのです。
体内に貯蓄できないアミノ酸の血中に含まれる量をできるだけ一定に保つために、
間食でたんぱく質をコンスタントに摂りつづければ良いのです。
ただ、仕事をしていて2〜3時間ごとに食事ができる人はあまりいないでしょう。
最近は便利になり、サプリメントが発達しました。
お金はかかりますが、サプリメントを利用するのも一つの手です。
自分はあくまでも自然食でなんとかしたい、と考える人は、塩分控えめの小魚や、
節分用の乾燥大豆、ゆで卵(白身のみ)が便利です。
ゆで卵は殻が剥いてなければ、殺菌作用があるので、暑いところでもなかなか腐りません。
サバの水煮の缶詰ならコンビニでも買えます。 僕は缶詰も利用しました。

アミノ酸が血液中にコンスタントに含まれていても、
残念ながら筋肉が100%燃やされなくなるわけではありません。
ダイエットで摂取カロリーを減らせば、やはり、ある程度は燃やされてしまいます。
筋肉の燃焼にブレーキをかけるために必要なのが無酸素運動です。
有酸素運動は脂肪を燃焼させる働きがあり、
無酸素運動はたんぱく質を筋肉製造に使う働きがあります。
摂取カロリーを減らせば、体は代謝の速度を遅め「飢餓モード」に入ろうとします。
筋肉を減らし、少しでもエネルギーを余らせ、
これから来るであろう飢饉に備えるために、脂肪の蓄積を開始します。
この、人間の生きるための本能、DNAに刻み込まれている自然の摂理に逆らい、
体をだますことが必要です。  そのために無酸素運動が最も有効なのです。

無酸素運動の代表で、全身を使う運動というとウエイト・トレーニングが最適でしょう。
なにもジムに通う必要はありません。
重い本を詰めたかばんを背負い、ヒンズースクワットをするのもよし。
そのかばんを背負ったまま、腕立て伏せや、懸垂もできます。
逆立ちするだけでも、腕の裏の筋肉と肩を鍛えることができます。
腹筋や背筋ならどこでもできます。
急に激しい運動をしたり、ジムでハードなメニューを作ってもらうのではなく、
身近な場所で、自分が嫌にならない程度、少しずつ始めましょう。
長く続けることに意味があるのです。
どのような動作をすれば、どこの筋肉を使うのか、意識しながら生活していると、
自宅や会社にいてできるクリエイティブなあなただけの運動を思いつくでしょう。
階段を上るとき、つま先のみを階段にのせ、かかとは宙に浮いた状態で、ふくらはぎをストレッチし、
太ももで下に踏み下げ、上に上がるとき、同時にかかとを上げ、ふくらはぎを収縮させる。
僕はこんな階段の上がり方をしています。  みなさんも、何か考えてみてください。


たんぱく質には動物性と植物性があります。
動物性は、肉、魚、卵、乳製品であり、植物性は、豆類が一般的です。
どちらも同じたんぱく質ですが、それを構成するアミノ酸の種類に違いがあります。
動物性の方が、より人間が必要とするアミノ酸をバランスよく含んでいます。
植物性は、人間が必要とするアミノ酸の種類と量が少ない、
又は全く含まれていないものがあります。
しかし、動物性たんぱく質は脂肪を含むものが多いため(脂身、とりの皮、卵の黄身等)、
カロリーが多く、食べすぎは健康にもダイエットのも良くないでしょう。
植物性たんぱく質(豆類)のなかで、
人間が必要とするアミノ酸を最もバランスよく含んでいるのは大豆です。
また、大豆はグリセリック指数も低く、
大豆に含まれる炭水化物は脂肪を蓄積しにくいタイプのものです。
枝豆、納豆、節分で使う乾燥した大豆を積極的に食べましょう。
きな粉を牛乳に溶かして飲むのも一つの方法です。
また、他の種類の豆類も、一種類ばかりを食べるのではなく、
例えばインゲンマメばかりではなく、ソラマメや小豆など、他の種類の豆も食べることにより、
バランスよく必要なアミノ酸を摂取することができます。
これは菜食主義の方が使うダイエットの方法です。
みなさんも試してみてください。

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