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中古物件
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日本は中古物件の価値が低すぎると思う。
まだ10年ほどしか経ってないものでも、ほぼ建物の資産価値はゼロと評価される。
確かに最近の新築分譲住宅のように、柱が修正材でできているものなど、
見た目はきれいだが中身が安物の場合、
30年以上も住むことは想定できないから、資産価値がゼロでも仕方ない。
しかし、住宅メーカーが建てた高級な作りのものまで、かなり低く評価されている。
だからこそ住宅メーカーが建てた中古物件を狙いたい。

建物の種類は、概ね、木造、鉄骨、鉄筋コンクリートの3種類に分けられるが、
耐用年数の長い順(長持ちする順番)に、鉄筋コンクリート、鉄骨、木造、となる。
土地面積、土地の形状、方角が同じで、かつ、
建物の延べ床面積が同じ鉄筋コンクリートと木造の中古物件があったと仮定する。
築年数が同じなら、売値から土地の値段を引いた価格(=建物の価格)が
鉄筋コンクリートと木造で同じとすれば、鉄筋コンクリートの物件の方が割安、ということになる。

しかし、他にも考慮すべきことがある。


鉄筋コンクリートの家

コンクリート部分にヒビが入っていると、そこから雨水が入り、鉄骨が錆びる。
錆びと鉄骨の体積が増え、コンクリートの亀裂は広がり、さらに雨水が入る。
ヒビがあって、修復していないもの、打ちっぱなしで表面に塗装をしていないもの、
塗装していても剥がれており、メンテナンスしていないものは要注意だ。
また、ありえないとは思うが、海の砂が含まれていれば、鉄筋コンクリートは早くダメになる。

鉄骨の家

防水、防滴がしっかりしていなければ、鉄骨の家は錆びてしまう。
鉄骨は錆びていなければ何年経っても強度は確保されているが、錆びてしまえばもろい。
錆びた鉄骨は明らかに木材より弱い。
残念ながら、錆びているかどうか(特に水周り)は内装を剥がしてみないと分からない。
もちろん、中古物件を買う前に、内装を剥がして確認することはできない。

木造の家

修正材を使っていない木造住宅は、錆びることがないので安心だ。
もちろん白アリに食われていれば、木造住宅はモロい。
また、カビが生えていないことも重要だ。
大抵の家は床下収納があり、収納ケースをはずして床下を覗けば、見当はつく。
築年数の多い住宅メーカーの家は、丈夫な木材を使っている場合が多く、
防水がしっかりしていない鉄骨の家よりは長持ちするように思う。
古い家ほどしっかりしているのは、年数のいった木からとっている木材を使っているためだ。
昔は、何十年もかかって育った木を切り、それを材木として使用していた。
こういう木は年輪の間隔が狭く、密度が高い。
硬くて丈夫で強度があり、長いこともつ。
最近の木材は、少ない年数で大きく育つを木を使う。
森林の伐採が進んでしまい建築用の木が少ないから仕方ない。
こういう木は年輪の間隔が広く、密度が低い。
柔らかくて強度がないのだ。
修正材は普通の木より強い、と言われるが、
それは修正材に使われている軽くて柔らかい木、そのものからとった無垢の木材に比べると、という意味で、
年数をかけて育つ密度の高い木からとった無垢の木に比べれば、耐久性はかなり低い、と考えられる。

建設中の分譲住宅を見ると、使われている材木はほとんどが修正材だ。
住宅メーカーが建てる最近の住宅も、建物の重さを支える柱や梁以外は修正材であることが多い。
私なら最近の住宅メーカーが建てた家より、中古物件でもしっかりと大工さんが建てた家の方がを選ぶだろう。
屋根裏、床下、押し入れ、和室に使われている材料を見れば、高級な素材が使われているかどうか、
既に内装が終わって木材が隠されていても大体見当がつく。


ここでは中古物件について考えているので、リフォームのしやすさも判断基準となる。

鉄筋コンクリートは部屋の間取りが変更しにくい場合がある。
最近のモダンな家で、一つの階が一部屋だったり、窓がものすごく大きい場合、
間取りの変更も比較的簡単だが、
こういう家は築年数が浅いものが多く、割高だ。
中古物件として魅力のある価格帯の年代ものは、一つ一つの部屋が小さく、
間取りの変更が難しい。

木造も同様、部屋の間取りが変更しにくい。
構造部分の柱や梁は移動することができない。(構造部分=家の重みを支えている場所)
やってできないこともないが、リフォームにお金がかかるし、
しっかりしたリフォーム屋さんに頼まないと、欠陥住宅にされてしまう。
そして、ちゃんとしたリフォーム屋さんかどうか、という判断が難しい。
柱や梁を移動させないで間取りを変えるには、壁を撤去し、柱や梁を剥き出しにすれば良い。
柱や梁を剥き出しにした家はお洒落だ。
しかし、剥き出しにしても格好悪くない梁や柱は、大抵古い家に多い。
築10〜20年程度の中古物件で梁や柱を出すのは、無理があると思う。
したがって、間取りの変更はあまりできない。
木造の中古物件では間取りが自分の好みに合っているものを探す必要があるが、これがなかなかないものだ。

間取りの変更が難しい、という理由で、軽量鉄骨の家も避けたい。
ここでの「軽量鉄骨」とは、構造を支える柱が部屋の4隅以外にもある場合を言う。
ベストなのはワン・フロアに4本の柱しかない重量鉄骨。
その次は10畳ぐらいまでの部屋なら4本の柱で支えられる軽量鉄骨。
軽量鉄骨で肉厚の薄いものは、木造家屋と同じぐらい縦の柱が多い場合がある。
これでは間取りを変更するのが難しい。
柱が少なければ少ないほど良い、ということだ。
また、柱が少ない、ということは、それぞれの鉄骨の肉厚が厚く、
仮に防水、防錆びに少々問題があっても、芯まで錆びてボロボロになるには相当な時間がかかる。
柱が多い、すなわち鉄骨の肉厚が薄いと、錆びてボロボロになるのが早い。

これらのことを考慮に入れると、
耐用年数の長い重量鉄骨の家で、防水、防錆びがしっかりしているであろう(これはあくまでも推測)
ハウスメーカーが建てた中古物件で、
築年数から限りなく建物の評価価額がゼロに近いものが良い、という結論に達する。

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